下條組地理図
下條組(外篇越後国蒲原郡之六)
此地府城の西北に當り本郡の東にあり、東は鹿瀬組に隣り、西は公領本郡の諸村に交はり、南は上條組公領本郡川内谷に界ひ、北は本郡黒川領新発田領に連る、、、村落大抵山間にあり、田圃多からず、南に揚川流れ、又新谷川・瀧谷川の流有て綱罟の利少からず農暇に薪材を伐炭を焼、山深き村々は熊・猿・羚羊を猟、或は乾柿を製して?出す、行地村・新谷村・綱木村・赤谷村及細越村・古岐村・瀧谷村を俗に七村通と唱へ、角島村・西村・大牧村・谷澤村・岩谷村・熊渡村・石間村・小松村等の諸村を下條通と稱ふ、七村通は過半新発田街道にあり、下條通は長岡領新潟にゆく水陸両道あり、村民駄馬を遂ひ、船筏を漕ぎ、生計の資とす、新谷川・瀧谷川に近木村々は洪水に苦む、又揚川に傍ふ村々に瀧をうつと稱へ、川中に杙をうち木柵をかきて中をあぐること三間計、水勢を一にし、其側に石を累起し、上に九尺四方計の小屋をかけ、網を一丈余の棹につけ、鮭の登るをまち□あけて是を捕る、谷澤村にてとれるもの、鼻曲り形も大にして味佳なり、土俗鼻曲鮭と云、薄塩に漬け是を干したくはふるに暑を経て味変ぜず、夏月下痢を患るもの用うれば験あり又石間・小松・佐取の三村は東の方本組の諸村と數山を隔て西は平衍の地に続き、枇杷・橘・柚の類實を結ぶ、此組の諸村郷名を失ふ、共に小川荘と稱す、凡て二十七箇村あり、
下條組上十五箇村
角島村(つのしま)、京瀬村 端村・柳清水新田、西村 端村・赤岩、大牧村、
小花地村、谷澤村 端村・黒村・大坊新田・黒坪、白崎村、川口村、吉津村、
岩谷村、五十島村(いかしま)、取上村(とりあげ)、石戸村、
長谷村(ながたに)、熊渡村、
下條組下十二箇村
石間村 端村・釣濱、佐取村、小松村、岡澤村 小名・上島・若栗林・船渡、
五十澤村(いかざわ)、細越村 小名・中島・古館(ふるだて)、
古岐村、新谷村、赤谷村、瀧谷村(たきたに) 小名・常盤新田、